お通夜や葬儀で香典をもらったら、お返しをする必要があります。金額の相場や商品の選び方といったマナー、同封する挨拶状やお礼状の例文となる文章について押さえることで参列者に失礼のないようにしておきましょう。
香典返しの相場としては、一般に頂いた金額の半額ほどが目安になります。ただし、関西では3割程度であることが多く、地域によって多少の差はあります。
相場は半額程度としても、受け取る金額が異なるわけですから、実際には一つの商品をすべての方に渡すわけにはいきません。そのため、何種類か用意しておいて、金額にあわせて選んでおくとよいでしょう。
なお、香典返しの商品としては実用品が相場となっています。たとえばシーツやタオルセット、食器、コーヒーセット、洗剤セット、お茶、海苔、石鹸といったものが代表的です。最近では、カタログギフトを送付して、相手に選んでもらうことも多くなっています。自分の趣味に合わないものや、欲しくないものを贈られるよりも、選べるカタログのほうが喜ばれるようになっているようです。
これと同様に、昔は金額が分かってしまう商品券を使うことは望ましくないとされていましたが、最近ではマナー違反ともされなくなりましたので、香典返しに商品券を贈ることも多くなっています。
挨拶状・お礼状の例文となる文章
香典返しには商品だけではなく、挨拶状やお礼状を添えるのがマナーです。文章を考えるのが得意な方はともかく、苦手な方は戸惑いを感じるかもしれませんが、例文を参考にすればそれほど難しいものではありません。
なお、挨拶状・お礼状の文章で記載しておくべきポイントとして、通夜や葬儀に葬式に弔問してもらったことと香典を頂いたことへのお礼、四十九日法要を無事に終えて忌明けを迎えたことの報告があります。
それでは、香典返しの挨拶状・お礼状の文章の例文を挙げておきます。テンプレート(雛形)として利用することができますので、必要な箇所を変更してお使いください。
「謹啓
先般○○永眠の節は、心余る御弔詞ならびに御香資を賜りまして、心より御礼を申しあげます。歳月忌に法要を営み、墓参りを無事に済ませることができました。
つきましてはさっそく拝眉の上 親しく御礼申し上げるのが本意でございますが略儀ながら書中をもちまして御礼旁々御挨拶申し上げます。
敬白
○年○月○日
追啓 つきましては供養のおしるしまでに心ばかりの品ではございますがなにとぞご受納下さいますようにお願い申し上げます。」
「粛啓
時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
陳謝先般○○永眠の際は御懇篤なる御弔詞を頂き且つ又御鄭重なる御供物を賜り御芳志の程 誠に有難く厚く御礼申し上げます。
お陰を以ちまして七七日忌法要を滞りなく相済ませました。
本来であれば、お宅に伺い直接御礼申し上げるべきところではありますが、甚だ失礼ながら書中をもって謝意を表し、御挨拶申しあげます。
敬具
平成○○年○○月
追伸
供養のしるしまでに粗品をお送り致しました。」
香典返しのマナー
四十九日の忌明け法要が終わってから、お礼と報告の意味で送るのが香典返しです。時期としては、忌明けから1ヶ月以内が目安になります。ただし、年をまたいでしまう場合については、五七日(三十五日が経過した段階)を忌明けとすることもあります。
このように、本来なら四十九日の法要が終わってから贈るのが基本ですが、最近は葬儀の当日に渡す即日返しも多くなっています。この場合には、相場が2000円から3000円ほどであることが一般的です。
ただし、近親者や身近な人から多めの金額をもらっている場合には、これでは香典返しの本来の相場よりもずっと安くなってしまいます。そのため、後日に改めてお礼の品を用意するようにしておきましょう。
香典返しにはのし紙を付けるのがマナーとなっており、表書きに「志」や「忌明け」「粗供養」「偲草」といった表記をし、その下には喪主の苗字だけを記載します。水引の色は地域によって異なり、黒白結び切りがもっとも一般的ですが、関西や東北では黄白を用いることもあります。