お通夜と告別式を終えてから行われるのが火葬です。日本においては土葬が行われることもありますが、割合としてはごくまれですので、ほとんどの方にとって最終的に行き着く場所となるのです。
告別式の日には、終了後に出棺して火葬場に向かいます。ただし、すべての人が行くわけではなく、一般の参列者はここで帰ることになり、一部のみが同行することになります。
まずは告別式が終わった段階で祭壇から棺を運び出し、生花を飾ったり、故人の愛用品を棺に入れます。ただし、火葬にするため、燃えにくいものは入れられません。これが故人との最後の対面となります。この後は釘打ちによって棺を閉じますが、葬儀社の人が軽く打ち込んだ後、残りは遺族が釘を叩きます。
霊柩車に移る前に、参列者に挨拶を行います。喪主が自ら行う場合もあります。位牌は喪主が持ち、遺影を遺族が持つのが一般的です。これから火葬場に向かって移動しますが、れ厩舎には喪主と遺影を持った一人のみが乗り込み、それ以外の人は別の車で移動します。式場に残った人たちは精進落としの準備を始めます。
火葬と骨上げ
まずは火葬許可証を提出し、用意を行います。僧侶の読経の下で焼香を行い、棺が釜に搬入されるのを見送ります。終了までには1時間ほどかかるのが一般的ですので、その間は控え室で待つことになります。
待っている間には食事やお酒をつまみながら、故人の思い出について語ったりして過ごすことになります。
火葬が終了すると骨上げ(骨拾い)を行います。火葬場の職員の人が誘導してくれますので、炉の前に集まって、骨が引き出されたら、全員で竹の箸を使って骨壷に収めます。
骨上げには順番があり、足から始めて体の上のほうに移行して頭に達することになります。これによって、骨壷の中で足が下、頭が上になり、生前と動揺の姿になります。また、喉仏の骨については喪主が拾い上げるのが一般的です。
壷は白木の箱に入れられ、さらに白い布で包まれます。埋葬許可証もこの時に渡されますので、保管しておきましょう。
火葬場から戻ると、お骨や位牌を遺影・花・線香などと共に小机に乗せ、還骨勧行という読経の中で焼香を行います。ここで初七日の法要を行うことも多くなっています。
続いて精進落としを行うことになるのですが、僧侶が主賓になって会食を行います。なお、食べ始める前に喪主が本日のお礼の挨拶を述べます。また、僧侶が帰る時には別室によてお布施を渡します。会食が終了すると、再び挨拶を行って解散となります。
火葬の温度
一般的に、日本国内では1000℃から1100℃の温度に設定されていることが多いようですが、800℃から1200℃まである程度の幅があります。体型や筋肉の付き方、さらに子供か大人であるかによっても異なります。
火葬の際に設定される温度は経験によって調節されています。デリケートな問題ですので、高すぎても低すぎても望ましくありません。
火葬とペースメーカー
心臓の機能を補うために使われている医療機器がペースメーカーです。携帯電話の電波によって誤作動する可能性もあることによって、使用していない人でも耳にしたことはあるでしょう。
毎年3万人の新たにペースメーカーを埋め込む手術を行う患者がいると推測されており、現在では50万人が装着していると考えられています。胸に埋め込んでいるため、火葬にする場合には、一緒に燃やされることになり、問題が発生することがあります。
温度が高くなることによって、ペースメーカーが破裂して遺体の損傷や職員の負傷につながることがあるのです。また、火葬炉が損傷することもあります。このような問題は、今後も増えていくと考えられています。
火葬にかかる費用
葬儀を行う場合には、色々な費用がかかりますので、それらの内訳について詳細に把握していないことが多いのではないでしょうか。そのため、結果として高額になってしまっていることは分かっても、それらの内訳については検討している余裕がないことも多いでしょう。
火葬の費用としては、5万円ほどであることが多いようですが、実際には他にも色々なお金がかかります。そのため、そうした部分で総額が大きく変わってしまう傾向にあります。
葬儀の規模や会社の選び方によって、費用の総額は異なります。首都圏では平均的に300万円ほどかかるというデータもありますが、最近では定額の予算でも実施できるように配慮する会社も出てきています。
不幸があった後に冷静に費用を比較しながら葬儀社を選ぶのは容易ではありませんし、生前に十分な準備をしていることはまれだと思います。その結果として、後になってからお金がかかりすぎていたことに気付くことが少なくないようです。
故人を送るために重要なのは費用のことばかりではありませんが、同じレベルのサービスであれば、出費ばかりがかさむのは遺族にとっても大変です。できれば複数の葬儀社で見積もりを取っておくと、賢い選択をしやすいでしょう。
火葬場は友引の休みが多い
地域による違いもありますが、友引を定休日に設定している火葬場は多く見られます。友引にはお通夜や告別式を行うことができないと考えている方もいますが、本来は無関係です。したがって、友引や仏滅でも問題はないのですが、火葬場が営業していないために、結果として告別式は行えないことが多いのです。ただし、お通夜であれば問題はありません。
告別式の後に火葬場に連れて行くことになるため、そこが休みであれば他の日に移さざるをえないのです。